トビが飛んでいた。

トビってなんだか、羽ばたいたら負けと思ってそうじゃないですか。

何秒間羽ばたかずにいられるか選手権やってます、みたいな。

そんな感じで、おそらく地上12メートルくらいの高さで、ふわふわ風に浮かんでいた。

足で何か食べ物を掴んでいて、それを飛んだまま啄んでいた。

ふわふわバランスをとりながら頭を下げて啄み、さっと頭を上げる。

その動作を繰り返していた。

啄むために頭を下げると、やはりちょっとバランスを崩すらしく、頭を上げて通常の姿勢に戻ると飛行が安定した。

飛びながら餌を食べるとは思ってもみなかった僕にとって、その姿はちょっと衝撃的だった。

もう四,五年前か、熊みたいな大男が軽トラを運転しながら、ちゃんと箸を使って弁当を食べているのを見た。

その姿が衝撃的で、家に帰ってから環さんに「さっき軽トラ運転しながら弁当くいよる人がおったよ」と話して聞かせた。

なんか、それを思いだした。

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